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健康情報

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2013年01月冬場の高血圧

一月は二十四節気でいう「寒」の最中に当り、一年のうちで最も寒い時期であるといわれています。こうした時期に寒い屋外と暖房の効いた温かい室内とを行き来する事によって、血管に負担をかけ思いがけない症状を引き起こす事もあります。今回は、こうした季節だからこそ気を付けたい血圧について取り上げたいと思います。


 

血圧とは 

 血圧とは、心臓から送りだされる血液が血管の壁に加える圧力の事をいいますが、心室が収縮して血液を送り込む時には血圧が上昇して、逆に心室が拡張している時は血管内の血液量が減り、血圧は下がります。つまり、心室の収縮時を最大血圧、拡張時を最小血圧といいます。

 いわゆる「高血圧」と判定されるのは、最大血圧と最小血圧が正常の範囲を超えて高くなった場合を指します。1993年にWHO(世界保健機関)が定めた基準を踏まえ、日本高血圧学会が中心となって策定されたガイドラインによると「最大血圧が140以上、または最小血圧が90以上ある場合、もしくはその両方に該当する場合」となります。

 正し、血圧は緊張したり、ストレスを受けたりした時に上昇する傾向が見られますので、一回の測定で基準値を超えたといって、すぐに高血圧と判定されるわけではなく、時間や条件を変えて何度も測定し、それでも基準値を超える場合は高血圧と考えられます。

 日本では、高血圧と認定される人が約3,000万人いると推計されていますが、厚生労働省が平成12年に実施した「第5次循環器疾患基礎調査」によると、30歳代以上の男性の51.7%、女性の39.7%が該当するとされ、年齢階級別では男女ともに高い年齢層ほど多く、70歳を超えると三人に二人が該当するという結果も示されています。

 いわば国民病の一つともいえますが、自覚症状がほとんど見られないためか、長年放置しがちで、慢性化することで血管の弾力性を奪い、固く、もろい状態に陥れ、動脈硬化の進行を招くことになります。つまり、脳梗塞や心筋梗塞など、命を左右する病気を引き起こす危険因子を高める侮れない病気なのです。

 

冬場の対策

 冬の季節は、室内外の温度変化の激しさなどから血圧が頻繁に上下動するため、慢性的な高血圧による動脈効果でダメージを受け続けてきた血管にとって、血栓や出血の危険性が高まる時期であることは否めません。高血圧が気になる人は、日頃の生活習慣を通じて、その改善を図るとともに、発作の予防のため十分な注意が必要といえます。

  冬の寒さに身を縮めるのと同様に体内の血管が収縮し、血圧上昇を招きます。その一方で、暖房の聞いた室内と外との出入りや、家の中でも部屋と廊下などで室内温度に格差があれば、血圧は激しく上下動することとなり、心臓や血管の負担は大きくなります。こうした急激な温度変化は血管に負担となりますので、外出時は厚着をしたりマフラーなどで首回りの防寒をするよう心掛けるとよいでしょう。

 冬場は、特にお年寄りが入浴中やトイレで倒れたりする事故が起こりやすい季節です。冬場の浴室は浴室を充分に温めて、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かることが事故防止につながります。トイレでは力み過ぎに要注意です。血圧が急激に変動する為に力を入れるには要注意。力み過ぎを改善するには、便秘解消を心がけるとよいでしょう。便秘を解消すれば結果的にはトイレでの事故防止につながります。

 血圧は一日約24時間のサイクルで変動するリズムがあり、朝目覚めた直後には、低い状態になると言います。ですから、目が覚めた後に急に起き上がると、急激な血圧の上昇を招く事になります。冬場の朝の冷え込みが厳しい時は、温度変化の差を受ける事になりかねません。布団の中で5分程度安静にしてから、身体をゆっくりと起こすようにしましょう。

 ウォーキングなどの適度な運動は、肥満防止や血流促進、気分転換の効用があり、血圧を下げるホルモンの分泌を促す作用があるとされており、血管の若返りが期待されます。激しい運動は逆に体に負担を掛け過ぎますので、自分の身体とよく相談の上で、あくまでも適度な運動をお勧めします。

 弾力性のある強い血管を作るには、良質なタンパク質を多く取る事も大切です。カルシウムの摂取も踏まえて、牛乳やヨーグルト、チーズ、豆腐、豆乳、納豆などの健康食材がお勧めです。食事は良質なタンパク質とカルシウムを摂ることを心がけて血管を丈夫にしましょう。