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健康情報

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2014年12月健康寿命を考える

我が国では、戦後の急速な経済成長や食糧事情および環境衛生の改善等により、平均寿命が著しく延伸し、今や世界一の長寿国として「人生80年代時代」を謳歌できるようになりました。その一方で、食生活の欧米化や生活習慣の変化に伴い、疾病構造は感染症よりも「生活習慣病」が蔓延する傾向にあり、特に「悪性新生物(ガン)」「心疾患」「脳血管疾患」の三大死因が全死因の6割以上を占めているのが現状です。こうした生活習慣病には発症後、一命を取り留めたとしても重篤な後遺症を引き起こすものが多く、身体機能の著しい低下を招くなど寝たきりや痴呆に至るケースも見られなくはありません。そこで注目されているのが「健康寿命」です。これは、元気で活動的に暮らすことができる長さを指すものですが、我が国でも平均寿命に対し6年程度の開きがあるとされ、現在の健康寿命をいかに延ばすかが大きな課題をなっています。

 

喫煙や高脂肪食で日本の長寿に陰り?

日本は、男女の平均寿命の差が大きい国だと言われています。これは最近、中高年男性の自殺が多いのが1つの原因とされていますが、一般的にはリスク要因の上位とされる喫煙や高血圧が、いずれも女性の方がかなり低いからだと考えられます。この辺りからも生活習慣病の誘因で再三、指摘される喫煙と高血圧、それを招く過度の飲酒や高脂肪の食事、運動不足の改善は健康寿命を延ばすキーワードといえそうです。WHOでは、日本が世界一の長寿国となったことについて「伝統的に低脂肪の食事を摂り、心臓病の比率も低いため」と分析する一方で戦後以降、喫煙者が急増し最近は肉など高脂肪の食事が増えていることから、特に男性の平均寿命が将来的に影響を受ける恐れがある―――との警告を発しています。

 

健康寿命を延ばす食生活5カ条

塩分を控える・・ナトリウムの摂りすぎは血圧の上昇を招くなどし、血管の老化を早める元凶となります。「健康日本21」では食塩摂取量を1日10g未満に抑えるように目標設定していますが、WHOでは1日6g以下と定めています。

動物性脂肪の摂りすぎに注意・・・丈夫でしなやかな血管をつくるには、良質なタンパク質の摂取は不可欠ですが、肉類から摂る場合は脂肪を摂りすぎないように注意したいもの。脂肪エネルギー比率を25%以下に減少させるようにしましょう。

大豆製品、魚、海藻をふんだんに・・良質なタンパク質を摂るには、大豆製品や魚類を忘れずに。大豆にはカルシウムやイソフラボンが含まれており、骨年齢の若さを保つためにも積極的に摂りたいものです。豆類を1日100g以上摂るとよいでしょう。

乳製品を積極的に摂る・・良質なタンパク質の代表格である牛乳や乳製品も積極的に取り入れたいもの。カルシウムも豊富に含まれていて血管と骨を若々しく保つ上で欠かせない食材です。さらにヨーグルトは腸内環境を整え、腸の若返りに一役買います。牛乳、乳製品を1日130g以上摂取するようにしましょう。

野菜、果物もたっぷりと・・野菜と果物はビタミンやミネラル、ポリフェノールの宝庫。特にビタミンC、Eなどの抗酸化物質は血管を傷つける活性酸素の除去に大切な働きをします。野菜の摂取量は1日350gほどで、同時に果物類を毎日食することが望ましいでしょう。