本文へスキップ

健康情報

本文スタート

2012年12月「冷え」について

 寒い季節、体の冷えが気になる季節です。冷えは重症になると、体の様々な箇所に影響が現れ、病気になりやすくなる「万病の元」なのです。今回は冷えについて考え、対策や改善法を見つけましょう。

  体温は測定部位により差があり、正常値は、口腔温が36.7度、脇窩温が36.4℃、直腸温が37.2℃で、小児は成人よりも約0.5℃高くなります。また女性の方が男性に比べて、やや高いようです。

 体温には個人差もありますが、一般的には約36.5℃前後で、早朝に低く、正午から夕方に比べて高くなるとされています。(変動は1℃以内)

 快適な状態での皮膚の温度は体感部で約34℃、手足で28℃といわれています。環境に応じた変動は、四肢の先端ほど大きいとされています。

 一定の温度を保つために熱の産生と放出のバランスがとれていなければなりません。

  「冷え」とは血行が悪くなり、末端まで十分に届かないので、手足の指などが冷たくなることを思い浮かべる人が多いでしょう。

 東洋医学では、冷えの事を「気」「血」「水」の三つの要素が乱れた状態と見ています。この三つが上手く循環すると、新陳代謝が活発になり、基礎代謝量が上昇するので冷えなくなり、体温の低い人も平熱が上がって、冷え症が改善されます。様々な体の不調もおさまってきます。また、トラブルの一つとして精神面のイライラがありますが「食べる事」で基礎代謝がアップし、体温が温まり、満足感を得る事で、精神のバランスもとれるのです。

 

冷えの3つの要素

 気・・・心身のエネルギーの根源

  気の乱れにより、体内ではガスの変調が起こる(しゃっくり、ゲップ、おなら)イライラ、しびれ、マヒ、不眠を招く

 血・・・血のめぐり

  血流が停滞すると、手足や下腹の冷え、婦人科系の不調を起こす。

 水・・・体内の水分

  余分な水分がたまると、むくみや頭痛、耳鳴り、食欲不振などの消化器系の症状が出る。

  一方、西洋医学では、冷えは自律神経の働きが乱れ、末梢血管を収縮して血液の循環が悪い状態と見ています。私たちが体温を35~37℃に保っているのも自律神経の働きによりますが、寒いところや寒暖の差が激しい所では、自律神経の機能が乱れ、収縮した欠陥と拡張した血管を生じます。そのため、血球成分の多いドロドロとした血液と水分の多い血液が流れ、スムーズに循環しなくなり、不調が現れます。

 

 冷え症の階段

  冷えは、手足の先が冷たく感じる事だけではありません。末端の冷えがどんどん進むと、身体の中心部まで冷えて、身体にも様々な不調が現れます。「冷えのぼせ」とは、たまった冷えの裏返しで、頭がのぼせて下半身が冷たくなる状態をいいます。また、反対に足だけがほてったり、身体全体がほてるのも冷えの現れです。

 冷えは低体温の人ばかりではありません。平熱が36℃以上あっても、冷えの症状が出ていて、気が付かない人も多いようです。まず、冷え症かどうか自分でチェックしてみましょう。

 

進行する冷え

 始まり=末端の冷え(手足が冷たい、冷えていて布団に入っても寝付けない)

冷えが進行=身体の中心部の冷え(お腹やお尻まで冷たい、肩こりやお尻のこりがある、生理中や前にひどく寒くなる、頭や体の一部がほてる)

 

冷えは女性の大敵

 女性は男性よりも冷えやすいです。それは、体の筋肉量が少なく、熱をたくさん作りだせない事や生理周期に伴って体温が高温期と低温期に変動する事、生理中に貧血気味になる事、体力を消耗して代謝が低下する事が一因です。そして、冷えのダメージを一番受けやすいところが、身体の中心部の「子宮」です。女性は元々冷えやすいので、冷えが進行していかないように注意しなければなりません。なぜなら、婦人科系の疾患は冷えがあると悪化しやすいからです。さらにホルモンバランスが崩れ、全身に影響を与えたり、不妊へとつながっていくこともあるからです。

 

他にもある冷える原因いろいろ

 ①薄着

 冬でもおしゃれ優先のために、下着無しで薄着をしたり、薄い素材のスカートやズボンを着用すると下半身が冷え、おなか、おしり、内太ももと中心部まで冷え切ってしまいます。

②食事(冷たい食べ物・飲み物)

 朝食は夜の間に冷えた体を温めて基礎代謝を高めるために、一日の中でも大切な食事です。しかし、現代は忙しく食事の時間がとれなかったり、ダイエット中だからと朝食抜きの人が多いのです。また、メニューも朝から冷たい牛乳やヨーグルト、フルーツといった体の中から冷えてしまうようなものでは温まりません。

③運動不足

 いつでも車で移動して歩かない様だと、血行が悪くなっています。その上、運動もせずに長時間、座っていると骨盤内がうっ血して冷えてしまいます。

④自律神経の乱れ

 体温調節をしている自律神経は冷えると血管を収縮するので、血行が悪くなります。そんな日々が続くと自律神経のバランスが乱れ、体の機能が正常に働かなくなります。

⑤ホルモンの乱れ

 ホルモンの分泌をコントロールしている視床下部は、体温調節中枢でもあります。冷えやストレスなどによって視床下部がダメージを受けると、ホルモンや体温の調節がうまくいかなくなり、余計に冷やす体質になります。

⑥ストレス

 ストレスの多い生活も冷えの原因です。交感神経が働くので、筋肉が収縮します。そのため血行が悪くなって、暖かい血液を全身に行き渡らせることができません。

⑦疲労やかぜなど

 体力を消耗しないように体の代謝が低下します。産熱の力が弱まり、血行も悪くなるので、冷えが強くなります。

⑧子宮の構造

 ヒトの内臓は、体内で直接外気に触れないようになっていますが、子宮は膣とつながっているため、外部の冷たい空気が入りやすく、冷えてしまいます。

 

冬は冷えの改善に最適

 冬は寒い季節ですが、暖かい服装をして、部屋も暖房で温かくし、お風呂にゆっくりとつかる事が出来るので、身体の冷えは解消しやすい環境と言えます。また冬が旬の野菜は体を温めるものが多いです。冬は夏の間、冷房で冷え切った体を養生するのに最適な季節ともいえます。大いに血行促進に努めたいものです。

 

その他、体を温める方法

①温か素材の下着

おしゃれをすると薄着になってしまいがち。冬は下着にも気を配ってみましょう。薄手でも遠赤外線の働きで体を温めるもの、空気を含んで保温力のあるもの、肌の水分を吸って発熱するもの、冬にうれしい素材下着があります。

 お腹の冷えをカバーするペチコート、ひざ丈のボトム、腹巻き付きボトム(使い捨てカイロを入れるためのポケットが付いたものもあり)、スパッツなどで下半身の冷えも防止しましょう。

 また、足元も靴下をはいたり、空気の入りやすい首回りも、タートルネック、スカーフ、マフラーで冷えから守れば完璧です。

②マッサージ&ストレッチ

 冷えを感じた時にマッサージすると体が温まり、効果が高いです。また運動不足は血液循環が悪くなり、筋肉も熱を作りだす事が出来ないので、ストレッチをして、筋肉を強化すると冷えも改善します。ストレッチで筋肉を緩めてからマッサージをするとより効果的です。全身の運動も良いのですが、下半身を重点に運動すると足先から温まり効果的です。

③入浴

 入浴は冷えの改善に最も効果的な方法です。ぬるめのお湯に20分間くらい半身浴します。骨盤内を温めると血行が促進され、身体の代謝がアップします。副交感神経が働き、リラックスしてストレス解消にもなります。楽しく入浴して、保温効果を高めるために、お湯に入浴剤などをプラスしても良いでしょう。

薬湯

みかん湯、ゆず湯、菖蒲湯など

アロマバス

ジュニパー、サイプレスなど

その他

粗塩(アロマオイル+粗塩)や日本酒をお湯に入れる。

 ④ストレス解消&疲れの解消

 ストレスをためると、まず自律神経をコントロールしている視床下部がダメージを受けます。そして体温調節機能が狂い血管が収縮して、血行が悪くなり、冷える事に。また筋肉が緊張したり、体の免疫機能も低下して様々な病気になりやすくなってしまいます。ストレスや疲れ解消のため、食事・入浴・睡眠・趣味を見直して工夫してみましょう。心がリラックスすると体も温まってきます。