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健康情報

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2012年11月「かぜ」と「肺炎」

 寒い季節、かぜや肺炎といった病気が気になる季節です。一見すると症状がよく似ており見分けが付きにくい両症状ですが、どんな違いがあるのでしょうか?

 肺炎もかぜも気道に病原微生物が感染して起こる疾患ですが、かぜの場合は鼻腔から咽頭までの上気道に炎症が起こります。これに対して、気管や気管支などの下気道に炎症が及ぶものを気管支炎などとよび、さらにその先の肺胞にまで炎症が広がった場合を肺炎と呼んでいるのです。

 「かぜ」と「肺炎」の違いを順番に確認していきましょう。

 

「かぜ」とは

  いわゆる「かぜ」という病気は、ウィルスや細菌に感染して、のどや鼻、気管など鼻腔から喉頭までの上気道に急性の炎症がおこる病気の事で「かぜ症候群」とも呼ばれています。炎症の起きている部位によって、鼻炎や咽頭炎、気管支炎などの症状をきたします。

 かぜ症候群を招くウィルスとしては、インフルエンザウィルスをはじめ、ライノウィルス、アデノウィルス、ヘルペスウィルス、RSウィルス、コロナウィルスなど、実に200種類に及ぶともいわれております。

 中でもインフルエンザウィルスに感染した場合は、文字通り「インフルエンザ」とされ、その他のウィルスに感染した場合には「普通感冒(かぜ)」とよばれています。これらは症状やその経過も異なっているため、医学的に区別して考えられています。

 

普通感冒

  普通感冒(かぜ)の症状としては、鼻水やくしゃみ、咳、喉の痛みなどが代表的です。中でも鼻水、くしゃみ、鼻詰まりなどの症状、つまり鼻粘膜に炎症が起こる鼻炎が症状で最も早く表れるとされています。

 喉に炎症の起こる咽頭炎では、のどの痛み、せきなどの症状が。さらに症状が進んで咽頭炎になると声がれなどの症状をきたします。

 血液中にウィルスが入り込むと、頭痛や倦怠感、関節痛、微熱、下痢などの様々な全身症状があらわれます。

 こうした「普通感冒(かぜ)」の症状は、体内に病原菌が侵入してから1~2日の潜伏期間を経て発現しますが、人間の体にはウィルスを始めとする病原菌を撃退する生体防御作用があり、これが正常にはたらけば発症後3~4日もすれば、強い症状が治まるのが普通です。しかし、高熱が続くなど症状が長引いたりする場合は注意が必要です。

 

インフルエンザ

  一方、インフルエンザウィルスが原因で起こる「インフルエンザ」は普通感冒(かぜ)に比べて、症状が強烈であるとともに、急激に現れ、集団発症するのが特徴。特にシーズン的には気候が寒くなる11月から年をまたいで翌年の2月頃まで流行するのが一般的です。

 症状としては、悪寒と共に高熱に見まわれ、それに伴って頭痛や関節痛、筋肉痛といった全身症状が現れ、鼻腔から咽頭までの上気道だけでなく、気管支にも強い炎症が起こり、急性気管支炎にもなったりします。

 インフルエンザは普通感冒と比較しても症状の回復が遅く、そうした症状が一週間前後も続く事になります。

 インフルエンザの場合は二次感染が起こりやすく、肺炎や肺脳症などの合併症を引き起こす事もある他、子供の場合では、ごく稀ではあるものの、インフルエンザをこじらせて、脳炎、心外膜症、ライ症候群などの病気につながるケースもありますので、適切な治療が必要となります。

 

肺炎とは

 肺炎とは細菌やウィルスなど様々な病原微生物に感染し、肺胞空内部に炎症が起こる病気です。人間の肺は、空気の通り道となる気管支と、その先にある肺胞という球状の組織で構成されていますが、この肺胞は空気中の酸素と体内から排出された二酸化炭素を交換するガス交換機能の中心的な役割を担っている組織といわれています。鼻や口から肺まで、気道を通って入ってきたウィルスなどの病原微生物が肺に感染して炎症が起こった状態、つまり気管支から肺胞にまで炎症が広がった症状を肺炎と呼んでいます。

 肺炎の原因としては、肺炎球菌、レジオネラ菌、緑膿菌、MRSAなどの細菌、インフルエンザウィルス、アデノウィルスなどのウィルス類、クラミジア、マイコプラズマなどの微生物等さまざまなものが挙げられますが、中には薬やアレルギーが原因で肺炎が引き起こされるケースもあるようです。この中でも、よく見られるのが肺炎球菌を原因とした肺炎、これはかぜによって体力が低下したことをきっかけに普段から体内に常在している肺炎球菌なの活動が活発になって発症するものです。

 

定型・非定型

 肺炎は原因菌の違いによって「定型肺炎」と「非定型肺炎」に代別されています。(表参照)

 定型肺炎の症状としては、高熱が出る・せきがひどい・悪寒や倦怠感などの全身症状・黄色い痰が出る・胸が痛い・息苦しい などの諸症状が現れます。免疫力が低下しているような、高齢者や慢性的な病気を抱えている人がかかりやすく、かぜやインフルエンザなどの二次感染によって引き起こされるケースが多く見られます。

 非定型肺炎の症状としては、定型肺炎に比べて一般的に症状が軽い事が挙げられます。ただし、病原体の種類によって症状や発症しやすい年齢が異なってくるので、分かりにくく注意が必要です。

 

予防策

 肺炎はかぜをこじらせる事で起こす事が多い疾患ですので、まずは、かぜの予防に心がける事が近道といえます。かぜ予防の定番といえる対策法もばかにはできません。こまめなうがいと手洗い、室内を適切な温度と湿度を保つ、部屋の換気、規則正しい生活リズム、十分な栄養と睡眠、人込みは避けるといった、従来から耳にする基本対策でもかぜ予防には効果的です。

 万が一肺炎にかかった場合は早期に治療すればするほど治りが早いといわれています。早めに医療機関に受信する事が重要です。高熱が続く・呼吸や脈が早くなる・呼吸が苦しい・胸の痛みがある・膿のような痰が出る といったような症状は肺炎の疑いアリです。